パーソナルカラーは、ファッションのカラーコーディネートビジネスとして広まりました。
ところが意外なことに、パーソナルカラーの起源となるエピソードは、服装の色ではなく、人の内面に持つ色について語られています。
今回は、パーソナルカラーのはじまりから現在までの移り変わりをお話ししますね。
はじまりのエピソード
パーソナルカラーのはじまりとなったヨハネス・イッテンのエピソードを紹介します。
ヨハネス・イッテン(1888年~1967年)は、スイスの美術教育者で、ドイツのバウハウスという美術学校で先生をしていました。バウハウスは、1919年~1933年の14年間(ナチスにより閉校)、ドイツにあった美術学校で、美術と建築に関する総合的な教育を行い、当時の先進的な活動は、現代美術に大きな影響を与えています。
イッテンは、著書「Kunst der Farbe 色彩の芸術」の中で、パーソナルカラーのはじまりとなるエピソードを書いています。
1928年、学生たちに、調和のとれた配色で描くよう課題を出したところ、学生たちからは、「先生がよいという配色は、自分たちには調和がとれていないと思えるし、不快に感じる」と返ってきました。
そこで、「自分が調和がとれていると思う配色を作る」という課題に変更したところ、学生たちは、各自、独創的な配色を描き、どの学生も他の学生とは異なる作品を描いた、というエピソードです。
- 調和のとれた色彩は、ひとそれぞれ違う。(主観的色彩)
- その人の好む色彩は、その人の正確、思考、感情を表している。
(以上は、著書「色彩論」(「Kunst der Farbe 色彩の芸術」の日本語版)より、要約して引用しています。)
パーソナルカラー診断 4シーズン
その後、カラーコーディネートは、アメリカでビジネスとして確立されました。有名なのは、フォーシーズン(4シーズン)という手法です。4シーズンでは、色彩を「春(スプリング)」「夏(サマー)」「秋(オータム)」「冬(ウィンター)」の4つに分類しています。
「肌の色は、暖色系(イエローベース)と寒色系(ブルーベース)の2つに分けることができる」という考えで、最初に、シルバーとゴールドのドレープを顔の近くにあてて、顔映りがよい方に分類します。
ゴールドのドレープ
シルバーのドレープ
次に「春(スプリング)」「夏(サマー)」「秋(オータム)」「冬(ウィンター)」の4つのグループの代表的な色のドレープをあてて、どのグループか分類し、各グループの中でも、特に似合う色を調べて、ベストカラーを決定します。
次の画像は、それぞれのグループのピンク色にあたる色です。ずいぶん、違いますよね。
4シーズンでは、大きく2つ「イエローベース」と「ブルーベース」にわけています。名前の通りですが、「イエローベース」に分類される色は黄色となじむ色、「ブルーベース」に分類される色は青色となじむ色です。
イエローベース | 「春(スプリング)」 「秋(オータム)」 |
ブルーベース | 「夏(サマー)」 「冬(ウィンター)」 |
イエローベース
ブルーベース
現在のパーソナルカラー診断
「ゴールド」と「シルバー」のドレープをあてて、大きく分類して、というのは、もう昔のやり方になっています。たしかに、「ゴールド」と「シルバー」で顔色が極端に変わる人もいますが、どちらでもいける人の方が多いのです。また、ゴールドとシルバーを身につけるとしたらアクセサリーなので、面積も小さく、どちらでもお好みでどうぞ、というスタンスになっています。今となっては「ゴールド」と「シルバー」のドレープをあてるのは、「参考程度に」という位置づけになっています。
イエローベースか、ブルーベースか、というのも、色の分類としては、とても大好きな分類方法ですが、人に関していいますと、どちらでもいける人も多いです。どちらでもいける場合ですが、どちらでいくか決めた方が、コーディネートはしやすいですよ。
イエローベース、ブルーベースの分類で、どちらでもいける場合も、明るい色の方が似合う、とか、深みのある色のほうが似合う、とか、似合う色の傾向は大多数の人にあります。
初期のパーソナルカラー診断では、「診断結果は一生変わらない」と言われていました。断言できますが、加齢を始めとするいろいろな原因で、パーソナルカラーは変化します。
そのため、現在のパーソナルカラー診断では、「今日の状態で診断します。」と説明してから診断するようになっています。加齢によって変化する人もいれば、変化しない人もいます。過去の診断で似合うとされていた色に違和感を感じたら、改めて、現状の診断をしてもらったほうがよいと思います。
まとめ
- 調和のとれた色彩は、ひとそれぞれ違う。
- その人の好む色彩は、その人の性格、思考、感情を表している。
- パーソナルカラーは変化する。過去の診断結果に違和感を感じたら、改めて診断してもらったほうがよい。
それではまた。